ライブに行ったら体感型アトラクションだった話

先日11/18、待ちに待った2_wEiの1stワンマンLIVE『Driven to Despair』に参加してきた。ライブとして楽しかったのはもちろんだが、8 beat Story♪はライブという枠を超えた新たなエクスペリエンスを提供してくれたので、そのことについてとか感想とか書いていこうと思う。


開演前

今回の会場は渋谷duo MUSIC EXCHANGE。会場中央に二つそびえたつ大きな柱が邪魔なことで有名なライブハウスだ。整理番号が後ろの方で運悪くその柱の目の前に来てしまったらステージはほぼ見えない!頑張れ!
会場に入ると、まずそんな柱に細工がされていることに気づいた。アルミとミントが描かれた布が貼られていた。それだけっちゃそれだけだけど…

会場に入って開演まで待っていると、いつものライブのように開演前の注意アナウンスが流れる。特に変わりのない普通のアナウンスが流れる……と思うじゃん?
最初はそう思って適当に聞き流してけど、妙にノイズ交じりだし、イントネーションも若干おかしいし、なんだなんだと思ったら、流石8 beat Story♪。もうこの時点からお前の罠にかかっていたとは、恐れ入ったぜ。
2_wEiの相手(というかこっちが主人公たちなのだが)8/pLanet!!のライブでは開演前アナウンスは8/pLanet!!のメンバーがやっていた。しかし、2_wEiはそんな丁寧にアナウンスするようなキャラじゃない。ということで抜擢されたのがモブのアンドロイド。
開演前の時点でアンドロイドによるアナウンスによって、既に舞台は2031年に作り替えられていたのである。

アナウンスが終わりライブが始まると思ったら今度は虎牙優衣が天の声として話し始めた。(死んでいるし、人格データも破壊されたはずなのにどうやって!)
「2_wEiの歌を受け止めてほしい、そしたらきっと何かが変わるはず」というような内容っだったと記憶している。(本当はもっと長かったけど)
2031年になった舞台で、今度は2_wEiのライブを聞き、彼女たちの歌を受け止めるという役割を与えられた。
この虎牙優衣の話を聞いているとき、その状況が何かに似ていると感じた。それがタイトルにもあるように体験型アトラクションである。もっと言うとディズニーランドですね。
世界観にあったアナウンスを受け、登場キャラクターによって役割やら使命やらを与えられる。このような状況はディズニーランドでよく目にしたものだった。(最後に行ったのが数年前なので記憶があやふやだが)
今からジェットコースターでも発車するのかと勘違いしてしまう状況だったが、虎牙優衣の語りが終わった後に始まったライブ本編は、まるでジェットコースターのように一瞬、しかしそれでいてとても濃密なものだった。
ライブに来てそんな感覚を味わったのが初めてだったため、大変衝撃を受けた。


1. Prologue -F**K YOU ALL- ~ Despair

アルバムのovertureが流れついにライブが始まる。1曲目はもちろん『Despair』だ。
4thでの乱入、マチアソビ、キャラワンを経てだいぶお馴染みになってきた。

2. UNPLUG

アルバムの曲順が完璧すぎてアルバム通りにやるかと思っていたら、いきなりこの曲のイントロが流れてきてブチ上がる。アルミも開幕で煽ってくるし最高。
今まで2_wEiがライブをやるときは出番の終わりはこの曲だったし、アルバムでも最後の方にあるからそういう曲なのかと思っていた。
『Pain - pain』という最強の締め曲ができたおかげで、序盤でこの曲をぶっぱしても大丈夫になったのは嬉しい。


3. Lost in data

確かこの前に少しMCがあった。でもほぼ休憩なくこの曲を叩きつけられる。
やはりミントの「ねぇ、どうして」が至高。
ステージ後ろの壁に0と1が大量に映し出され、二人がデータの海を彷徨っていたことを想起させる。そして特定場面では"Hello world"と大きく映し出されていた。


4. LOVE HATE

特殊イントロを挟みLOVE HATEが来る。この特殊イントロからの入りが絶妙で唸ってしまった。
前奏では高BPMのドラムに合わせ手のひらにグーパンを叩きつける振付。思わず真似したくなる。
「LOVE or HATE」や「LOVE & HATE」の歌詞のところでは手でLとHを作る振付。
2_wEiの中ではキャッチーな振付が目立ったが、それでもやはりカッコイイ。


5. basement

こちらも特殊イントロ付き。この特殊イントロも強かった。(音源出してください!)
人間への憎みの塊のような曲だが、「牙を向け」の振付が妙に可愛かった。
ここまで来て、セトリがゲーム内での登場順になっていることに気づく。


MC

ここで少し長めのMC。昼ではグッズ紹介、夜では弁当の話。どちらもミントが弄られる感じのやつ。
少し和んだ雰囲気になりつつも、野村さんと森下さんはあくまでアルミとミントを演じ続ける。もう役者だよ!


6. Green Cat.

ちょっと重めの言葉を挟んで後半が始ろうとしていたので『MMIX』あたりかと思ったらこの曲のイントロが流れてきて思わず叫んだ。
イントロで曲名が意味する青虫のようなクネクネした気持ち悪い動きをし、サビでは蝶のように飛び立つ。気持ちいい。みなさんは大空へ向かって羽ばたけましたか?
昼の部ではまばらだった飛ぶ人も、夜の部ではだいぶ多くなっていたと思う。


7. MMIX

つい先日ジャケ写が公開され大きな波紋を呼んでいる曲。
二人のロングトーンを生で聞けて感動した。
『Green Cat.』の楽しさと『Homeache』のエモさに挟まれているため、この曲についての映像記憶が思い出せず苦しんでいる。


8. Homeache

特筆すべきはやはりCメロ。互いに背中を預けながら歌う二人が最高にエモかった。
そして大サビに向かって「さぁ 行こうか 帰ろう オンステージだ」と言って真ん中のお立ち台に二人で立つ。天才だ。


9. Numb

この曲の前にピアノインスト付きでMCが挟まれた。
ミントの「やり残していることはありませんか?」という語りから始まり、アルミが「会いたい人には今すぐ会え」とか「今を精一杯生きろ。それができるのは今だけなんだからよ」とか言い、その後ラストパートへの煽りをする。
ここのMCが響いたのは、他でもなく2_wEiの二人が語っていたからだ。アルミとミントを演じている野村さんと森下さんではなく、アルミとミント自身が語っていたからだ。
そう思わせてくれるのは、2_wEiが徹底してキャラとして舞台に立っているから。そして、キャラが立っていると錯覚させるような舞台を前述のような形で8 beat Story♪が用意しているからだ。恐れ入ります。

『Numb』ではジャケ写を思わせる雨のような演出が光でなされていた。
また、同じく5u5h1作曲の『UNPLUG』と同様マイクスタンドも用意された。


10. Pain - pian

『Numb』が終わるとすぐにこの曲のイントロが鳴り響いた。アルミが煽る。人間が前に詰めまくる。
最後の合唱でライブの一体感、高揚感を最高潮に感じながら幕を閉じる。最高の締め曲である。
二人の存在を証明するための“強さ”がこの曲に溢れていると感じた。

8/pLanet!!のライブとは違いアンコールはなかったが、夜の部ではこの曲が終わり、二人が舞台からいなくなると、東京での追加公演が発表された。しかも、今回はゲーム内でのストーリーの内容も汲んだ生バンド付きだ。
バンドのメンバーも同時に発表されたが、その中に山本陽介の名前を見つけて高まった。彼は自分が好きなアーティストであるZAQのライブにも出演していて何度か見たことがあり、そこでのパフォーマンスからして2_wEiのライブにもってこいだなと感じている。特にこの『Pain - pain』のイントロが聞いてみたい。次のファイナル、山本陽介目当てのところが3割くらいあるのはここだけの秘密。


最後に

ジェットコースターのように時間的にはあっという間に終わったライブだったが、体感としてはそれほど短く感じなかった。それだけ濃密な時間を過ごせた。
ライブを一人のファンとして「見る」のではなく、ライブを含めた1つの物語に「参加する」というこの新しい感覚、他に味わえる現場があるなら是非教えて欲しいぐらいだ。

楽しさや新感覚を与えることにますます磨きがかかってきたように思える8 beat Story♪
ただ個人的にはあまり楽観的でいられないというのも現状だ。来月は8/pLanet!!が一つの区切りを迎えてしまう。自分が当日その場で何を思うかは未だにわからない。
不安は現実だけでなく物語中の先生としてもある。ここまでの強さを見せつけられた2_wEiという脅威を8/pLanet!!はどうやって乗り越えていくのだろう。人間の強みであったはずの感情の力は(負の方向が強いながらも)2_wEiによって存分に叩きつけられてしまった。2_wEiを乗り越えるカギはきっと10章13話のタイトルにもなっている「桜木ひなた」にあるのだろう。不安でもあり同時に楽しみでもある。