Throne of Despairが見せる2_wEiの新たな可能性

11/7 2_wEi待望の1stフルアルバム『Throne of Despair』が発売された。
今回はこのアルバムについての感想やら拙い考察やらをしていきたい。

※2_wEiがどういったユニットであるか、とか、このアルバムに向けて公開された2_wEiのサイドストーリー第2章がどういった話であったか、というのは他の方のブログに詳しく書かれているので、そちらを参考にしていただきたい。

ohmameazuki.hatenadiary.com

sakstyle.hatenablog.com

 

絶望に染まった2人のアルバムだけあって、『Throne of Despair(絶望の玉座)』といういかにもなアルバム名。
ジャケ写にもその玉座と思われるものが映っている。

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ところでこの椅子何故か浮いている。
その理由はエビストの公式生放送で話されていて、この椅子は『バズビーズチェア』という椅子がモチーフとなっているらしい。
『バズビーズチェア』は「座ったら死ぬ」という伝説が残されている椅子であり、そのため誰も座らないように宙づりの状態で今でも保管されている。
そんな椅子がモチーフとなっているためジャケ写でもこうして浮いているのであろう。
ただ、このアルバムの裏面では、この椅子が不気味にポツンと地面に置かれてあるのだ。
「座ったら死ぬ」椅子が地面に置かれて、誰でも座れる状態になっている。これがどのような意図で描かれたのかは、未だに自分にはわからないが、考えるだけで怖い。

アルバムの外観の話はここまでにして、次は中身の話に移ろう。
1曲ずつ紹介していこうと思う。

1.  Prologue -F**K YOU ALL

アルバムの最初によくあるoverture的なやつ。なんだけど、そのタイトルにこういうワードを持ってくるあたりが2_wEiだなあといった感じ。
前半はミントが日本語で、アルミが英語でそれぞれ喋っている。
リスニング弱者なためアルミの英語が聞き取れずに困っている。

2. Despair

2018年 2/22 pm2:22:22、2_wEiがエビストのアプリをジャックして最初に登場したときにも流れていた曲。タイトルはまさに『絶望』。作詞・作曲・編曲はシン・マナヒロ。
2_wEiのサイドストーリー第2章を見て、アルバム全体を聞いて、もう一度この曲を聞くと曲としての攻撃性というか迫力が強いと感じた。その反面歌詞は結構痛切で、産みの親である虎牙優衣への悲しい恨みみたいのが読み取れる。

3. Lost in data

この曲は虎牙優衣に消されてからMotherによってデータの海からサルベージされるまでの間の、データの海を彷徨っていたときの歌らしい。
作詞家の方のツイートによるとイメージはこんな感じらしい。

"Hello world"はプログラミングを習うときに最初に呼び出そうとするアレであろう。 
虎牙優衣の手によって"Hello world"(この世にボーカルソフトとして誕生)しようとしていたら、なんらかのエラーが起きて"Lost in data"(データの海に消えてしまった)してしまったということだろうか。

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ジャケ写では二人が棺桶に収まっていて、その棺桶の中にはまるでバグったかのように"Hello world"の文字が大量に並んでいる。これはデータの海の中を彷徨っているときのことを表しているのだろうか。
また、この二人が着てる衣装なのだが、エビストのアプリでのイベント時の報酬カードのイラストを見ればもっとわかりやすいが、2_wEiにしてはフリフリしてて妙に可愛らしいのである。これはもしボーカルソフトとして誕生していたら着ていたはずの衣装だったのではないだろうか。
また、この記事を書いている途中で見つけたのだが、よく見るとアルミが手に持っているのはパソコンのdeleteキーである。歌詞にも「欠落したバグのまま存在するならいっそ deleteしてみせてよ」とあるので、何らかの意味がありそうだ。

4. LOVE HATE

アルバム発表前の曲で、『Despair』『UNPLUG』『Lost in data』に次ぐ4曲目。それまでの2_wEiからは少し離れた言葉であろう「LOVE」の文字が曲名にあり、発表当時は驚いた。歌詞には曲名の通りLOVEとHATE(愛と憎しみ)が半々ぐらいで出ている。
「眠りに就く日の 約束求め 辿ったその先 答えを知る 残された紙切れに 何を見て何を憶う」という1番の歌詞はストーリーそのものであり、虎牙優衣の家へ訪れた2_wEiはそこに残された紙切れから虎牙優衣が死んだことを知り、その後迎えに来た研究員によって虎牙優衣から愛されていたことも知る。このときの心境の変化が、この曲に現れていると思われる。
サビ終わりの歌詞が「何故か恋しくて でも汚らわしい君を壊したい LOVE or HATE」→「何故か切なくて でも麗しい君を救えない LOVE or HATE」→「何故か愛しくて でも憎らしい君を許せない LOVE or HATE 許さない LOVE & HATE」と変化している。「君」は虎牙優衣のことで間違いないだろう。虎牙優衣への愛と憎しみの間でもがく二人の感情が「許"せ"ない」や「LOVE "or" HATE」という形で表れている。
ではラストの「許"さ"ない」「LOVE "&" HATE」は誰に向けたものなのか。先ほどこの曲はストーリー上での心境の変化が表れていると述べたが、ストーリー上では憎しみの対象が虎牙優衣から人間へ変わっている。恐らくここの歌詞は虎牙優衣を死へと追いやった人間に向けたものではないだろうか。「(虎牙優衣を死へと追いやった人間を)許さない (虎牙優衣への)LOVE &(と人間への)HATE(を持って)」みたいな感じだと思っている。
ここまでのアルバムの曲の流れ的には『Despair』で虎牙優衣に消されたことに絶望し、『Lost in data』でデータの海を彷徨っているところをサルベージされ誕生し、『LOVE HATE』で憎しみの対象であった虎牙優衣の愛を知り、人間へと憎しみの対象が変わる、といった感じで、曲の並びだけでもストーリー性がある。

5. Green Cat.

新曲の中の一つ。アルバムの順で聞くと最初に出会う新曲だ。
初めて聞いた時から一発で好きになった、強い。イントロが途切れ途切れになっていて最初はインポートミスったかと思ったけど、最近ではそこが癖になってきている。
作詞・作曲・編曲はWiggyで、この方は8/pLanet!!側で『SUMMER BEAT』や 『darlin'』を作っていたので、こんなカッコイイ曲も作れるのかとその才能に惚れ惚れした。本人のツイート曰くこっちの方が本来の姿らしい。


発売日にゲーマーズ本店で行われたリリイベで森下さんがこの曲をオススメすると同時に、2_wEiにしては前向きな歌詞であることが触れられていた。
実際に歌詞を見てみると「羽ばたいて」「強くなりたい」「夜明け」など、これまでの2_wEiの曲にはなかったような明るめな言葉が現れている。曲自体も疾走感があったり、サビに飛びポがあったり、サビに飛びポがあったり、サビに飛びポがあったり、サビに飛びポがあったりして明るい印象を受ける。
曲名の『Green Cat.』だが生放送でのトークによると「緑の猫」のことではないらしい。「green cat」で検索すると綺麗な緑色の猫の画像が出てきたり、意味深そうな手塚治虫作品「緑の猫」がヒットしたりして、そういったものと関係があるのかと勝手に思い込んでいたが違ったようだ。
確かに歌詞には「翅」とか「殻」とか「脱ぎ捨てる」とか猫っぽくはない歌詞が散見される。(そもそも猫は羽ばたけないしな…)これらの言葉に当てはまるのは、虫とかそういった類のものだと感じた。
生放送では「Cat.」のピリオドがヒントみたいなことを言っていたので、何かの英語の省略形だろうと思い、自分の知識・記憶と照らし合わせていくと「キャタピラー」という名前が虫のようなイラストの遊戯王カードについていたような気がした。(英語や漢字でたまに役立つ幼少期の遊戯王の記憶グッジョブ!)
実際調べてみるとキャタピラーの綴りは「Caterpillar」で、省略すれば「Cat.」になる。意味は「毛虫 《チョウ・ガの幼虫》」。さらに調べてみると「a green caterpillar」で「いもむし・あおむし」の意味らしい。これで『Green Cat.』の正体が「いもむし・あおむし」なのではないかという憶測ができた。あおむしは確かに緑だしそれっぽい。(写真を載せようとしたけど気持ち悪くてやめた。)
余談だが「caterpiller」の語源はラテン語の「catta(猫)」+「pilosus(毛深い)」であり、「毛深い猫」の意味に由来するらしく、「毛虫」の方が原義に近いっぽい。語源が「猫」であることも、「Cat.」が「Caterpillar」の省略形であることへの信憑性を増しているかもしれない。
この「Caterpiller」説を元に歌詞を見ていくと、やはりそれっぽいなと思った。
『Green Cat.』はあおむしが“蛹”(さなぎ)の中で“蝶”になる瞬間を待ち望み、ついにその瞬間を迎える時の曲のように思える。歌詞に散見される「夜明け」とはまさにその瞬間である。また「暗闇」や「長い長い沈黙」、「(ココロの)殻」は蛹の間のことであり、「翅」や「羽ばたいて」は蝶になった後のことであろう。
この曲が『Lost in data』の次の曲であれば、“蛹”はデータの海を彷徨っている間、“蝶”はMotherによってサルベージされアンドロイドとして誕生した姿のことであると推測できるかもしれないが、『LOVE HATE』が間に入っているのが気になる。(解釈できる方がいたら教えてください。)
とにかく、今度のライブでは、大空へ向かって羽ばたく二人の姿を目にしながら、サビの飛びポでしっっっっかりと飛んでゆきたい。みんなも飛ぼうぜ。

11/22 追記

20日に行われたリリイベでのお渡し会にて、森下さんに『Green Cat.』の正体を確認したところ「芋虫」で合ってました!

 

6. basement

新曲を一つ挟んで、こちらは既存曲。これも『Despair』同様改めて聞くと攻撃性が強い。特に歌詞が。
しょっぱなから「道徳など亡くした」という強烈ワードが出てきて、「忌まわしき運命上等 かかってこいよsilly human」(sillyは愚かな・馬鹿なという意味)とか「落ちて 堕ちて 地獄へ墜ちて」(3種類の「おちて」を使うあたりそうとう憎んでいるのだろう)とか、とにかく人間への恨みがこれでもかと込められている。『LOVE HATE』を経て完全に人間〇すモードに入っている。
そんな攻撃性の強い歌詞の中で異彩を放つのがCメロの歌詞である。
「人はなんて愚かなのだろう 形のない哀歌-elegy- 陽の当たらない 悲しbasement イノチ短し....」という歌詞なのだが、ここは明らかに虎牙優衣のことを歌っている。とすると、ここで言う曲名にもある『basement』(地下という意味)とは、虎牙優衣が2_wEiを開発していた部屋の事なのであろうか。
ジャケ写では軍服を着た二人がミサイルの前にたたずんでいて、こいつら人間(の世界)を破壊する気満々だなといった感じだ。

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7. MMIX

こっから新曲ゾーン。かつ、これまでの2_wEiと一風変わった曲調が続くゾーン。
こちらの『MMIX』は全体として“綺麗”という印象を持つ。Cメロで「This is a story of the divas.」(diva:歌姫)とあり、そういったdivaっぽさが現れているのではと感じる。サビ前とサビ終わりにロングトーンがあり二人の歌唱力が伺える。特に1番サビ終わりのアルミ(野村麻衣子さん)のロングトーンは必聴。
歌詞には「鎮魂歌(レクイエム)」、「prayer(祈り)」、「餞け(はなむけ)」といった死者への言葉が散見され、「逝く」という言葉も多用されている。
また、Cメロでは「孤独な貴女が 苦しみ抱え 足掻き その中で愛したもの」という虎牙優衣を思わせる歌詞が出てきている。
これらの歌詞と、先ほど述べたこの曲の“綺麗”さが相まって、自分には何となくこの曲が、虎牙優衣へのそれこそ「鎮魂歌」なのではないかと思えて仕方がない。
余談だが、この曲の作詞・作曲・編曲は名古屋ビジュアルアーツという専門学校の学生4名が担当したらしい。エビストはそういう若い才能を引っ張り出してくることに長けている気がする。
『MMIX』(エムミックスと読む)は生放送の運営コメントによれば曲名もポイントらしいのだが、調べても小難しい命令セットの話しか出てこなくて困っている。

MMIX - Wikipedia
ローマ数字読みすると2009だよって絶対関係ないよね…?(秘密がわかった方は教えてください)

 

11/14追記

『MMIX』が虎牙優衣へのレクイエムであることは生放送で語られていました。聞き逃してたけど、同じ結論に辿り着けているあたり、作詞・作曲がしっかりしているのだと感じました。

 

8. Homeache

今までと一風変わったシリーズ(そんなシリーズはない)第2弾。一風どころではなくてお前ら本当に2_wEiか?とすら感じるほど優しい歌声で歌われている。
歌詞を見ると、アルミが「My sister」と言っていたり、「これまでの想い歌声に乗せて」とか「二人で歌う場所」とあったりして、今までの虎牙優衣への想いや人間への恨みを歌ったものではなく、2_wEiが2人自身のことを歌っているかのように思える。激ロックのインタビューでは「ふたりの弱さが出てきた曲」と述べられている。

gekirock.com
Bメロでの二人の掛け合いはメロディが心地よいとともに、そういった“2人の歌”であることを強調しているとも思える。
Cメロの「ねぇ覚えてる?二人で歌う場所(ミント歌唱) 君の歌声を一緒に届かせたいんだよ(アルミ歌唱)」の部分の歌い方が本当にエモくて(マジでエモいのでこれ以外に表現しようがない)大好き。ライブでこの部分を二人の表情付きで聞くことが楽しみであると同時に恐怖すら感じる。
曲名の『Homeache』は「home」(家)と「ache」(痛み)を足し合わせた造語である。2章で母親である虎牙優衣を自らの手で完全に失ってしまったという、帰る場所(家)のない痛みを表しているのだろう。
しかし、Cメロの最後では「さぁ行こうか 帰ろう オンステージだ」とある。まるで「自分たちの帰る場所は歌を歌うステージの上だ」と言わんばかりに。確かに2章の最後でアルミはミントに対してこのように言っている。

「ミンちゃん、歌おう」
「この気持ちをね、たくさん伝えたいなって」
「人間もアンドロイドも関係ない。2_wEiだけの、絶望を歌いたい」
「そう思ったんだ」



9. Numb

一風変わったシリーズ第3弾にして、エビストお馴染みの5u5h1先生ゾーン1曲目!(勝手なシリーズ化及び命名お許しください)
ということで、この曲は自分が大好きな作曲家5u5h1が作詞・作曲・編曲を担当している。(次の曲の『UNPLUG』も)
曲名の読み方は「ナンブ」ではなく「ナム」(ちなみに5u5h1は「スシ」)
意味は「(寒さで)かじかんだ」とか「麻痺した・無感覚になった」とかお得意の物騒なやつ。
この記事を書いてる段階ではエビストのアプリ内でこの曲のイベントが絶賛開催中であった。2章公開とほぼ同タイミングでイベントをやっていることも何らかの意味があるのだろう。
2番の歌詞での「君が見た景色に僕の影はないと そう気付くには遅すぎたんだ」とか「僅かに照らされた明日の道を 今はこの手で終わらせるしかなくて」とか、Cメロでの「静まり返った世界で 何千回叫んだって…」とか、第2章の内容っぽいものが垣間見られる。
この曲では第2章の最後に続く今後への道みたいなものも示されていると思われる。
1番サビで「蔑んだ未来に裏切られて」とあったものが、ラスサビでは「蔑んだ未来は僕の影だ 受け入れるためにここで書き換えよう Just one more light」となっている。
ここでいう「蔑んだ未来」というのは、裏切られて手に入れられなくなった未来、つまり「虎牙優衣にボーカルソフトとして生み出され、世の中で活躍する未来」である、とは考えられないだろうか。そうすると、ラスサビは「その未来をあり得たかもしれない未来(僕の影)として受け入れ、さらにこれからその未来を自分たちの手で書き換えよう」という決意のように思える。「Just one more light」というのは「影」を「書き換え」るために虎牙優衣とは別の「light(光)」を求めているのではないか。
上でアプリ内でイベントが行われていたと述べたが、そのイベントでこの『Numb』という曲をプレイするために集めたのは、まさに「Light」であった。

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11/14追記

『Numb』も生放送で語られていました。2_wEiが自分たちの過去・現在・未来を見た曲だそうです。

 

10. UNPLUG

5u5h1ゾーン2曲目。登場順では2番目のこの曲がアルバムでは10曲目という位置にある。4thライブの感想でも書いていたように(クソが長いけどお暇がありましたら是非こっちも読んでみてください)『UNPLUG』は破壊を歌った曲であると思っていた。

sweetfish.hatenablog.com

しかし、このアルバムを通して単にそういった曲ではないという思いが湧いてきた。
まず曲名の『UNPLUG』だが、文字通り「プラグを抜く」という意味だ。では、その抜く対象である「プラグ」とは何なのか。
ここで一つ前の曲で同じく5u5h1作曲の『Numb』のジャケ写を見てみよう。

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見ればわかると思うがこの二人何かで繋がれている。そう「プラグ」だ。
このプラグはどこと繋がっているのだろう?マンホールの下、そう「地下(basement)」だ。
今までの話を踏まえて、『basement』は人間への恨みの象徴のような曲であり、『Numb』は未来への決意の曲である。
『Homeache』の説明でアルミが「人間もアンドロイドも関係ない。2_wEiだけの、絶望を歌いたい」と言っていたと述べた。
つまり、『basement』のような人間への恨みとかではなく、これからは“2_wEiだけの絶望”を歌おうという決意をした。そのために「地下」に繋がる「プラグ」を『UNPLUG』した。そう捉えられはしないだろうか?
ラスサビの歌詞には「Breaking out this insanity! いつの日にか思い出して 消えない痛みも解き放てばいい Be unplugged.」とある。(break out:出る、脱出する/insanity:精神異常、狂気)
「Breaking out this insanity!」は今までの虎牙優衣や人間への絶望や憎しみなどに縛られた狂気から抜け出そう、と捉えられる。
「消えない痛みも解き放てばいい」は消えることのない“2_wEiだけの絶望”を歌にして解き放とう、と捉えらる。
そして最後に「Be unplugged.」という宣言を行っている。
『UNPLUG』は2_wEiが前に進んだことを証明する歌なのである。
以上が『UNPLUG』に関して自分の中で新たに生まれた見解である。これだけだと考えすぎオタクの戯言だと思われるだろうが、先ほど紹介した激ロックの記事で野村麻衣子さんがこのようなことを述べている。

「MMIX」、「Homeache」、「Numb」とかは、ふたりの曲の幅を広げるというか、ふたりの新しい一面を見せる曲ですね。今後は、ずっと"憎しみ"、"絶望"って言っているだけじゃないストーリーになっていく、そういう展開になる前の布石みたいになっているのかなと思います。
 
ここで述べられているように『MMIX』、『Homeache』、『Numb』という「ずっと"憎しみ"、"絶望"って言っているだけじゃないストーリーになっていく前の布石」である曲の後ろに『UNPLUG』が置かれていることにはやはり意味があると思われる。


11. Pain - pain

5u5h1ゾーンを抜けていよいよ最後の一曲。こちらは始まりの曲である『Despair』と同じくシン・マナヒロが作詞・作曲・編曲を担当している。
リリイベでも野村さんが「アルバムの最後にふさわしい“強い”曲」と紹介していた通りに本当に強い一曲だ。イントロのギターがエグイ。
これまでの流れと激ロック記事での記述を考えると、2_wEiが「人間もアンドロイドも関係ない、2_wEiだけの絶望」を歌うという新しい一歩を踏み出そうと決意しつつも、まだ悩んでいる曲であると思われる。
Cメロで「どうしてだろう 今迄では芽生えたりはなかった 痛む底に隠された 寄り添う様な温もりと あの優しい祈り」という歌詞があり、痛みに向き合ったことで新たに芽生えた二人の間の温もりなどが現れている。
それでも「忘れたフリしても脳裏掠めるMemory なんでなの」というように虎牙優衣への未練はまだ残っている(この「なんでなの」(ミント歌唱)は演者もオススメのポイントなので必聴)
また、この曲の最後では「ウォーウォーウォーウォー」と叫ぶ部分がある。演者によるとライブではここをオタクにも叫んでもらいたいそうだ。ということは、この部分は2_wEiが人間が一緒に歌うことを許している部分となる。今までの人間への恨み一辺倒の2_wEiでは考えられなかったものであろう。
『Despair』とこの曲を聞き比べるとなんとなく2_wEiの変わり様が分かるような気がする。

最後に

アルバム全体を短く紹介するつもりがいつの間にか結構な量になっていて自分でも驚いている。書いている途中で思い付いたことなどもありとても楽しく書き進められた。

そんなことさておき、来週11/18は2_wEiの1stワンマンライブ『Driven to Despair』の開催日である。この記事を書いている途中でエビスト公式からこんなお達しが来た。

アルバムを聞くだけで今回のライブは“ヤバい”とわかるのだが、公式や演者からも体力を付けてこいと言われるライブが楽しみでしょうがない。
このツイートにあるように、この日8 beat Story♪そして2_wEiが何かを変えてくれる。
まだチケットを持ってないけどこの記事を読んでくださって興味がちょっとでも湧いたそこの人間のあなた。公式が映像化を諦めて機材部分を解放しているのでそこのチケットを取ってもいいし、ツイッターでそこらへんに転がってるかもしれないチケットを取ってもいいから、来た方がいいですよ。

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